本の内容
「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えてゐる。」(『銀河鉄道の夜』)。冒頭の「宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか」からはじまり、ミケルアンジェロと竜安寺の関係、モーツァルトが石の名前になったわけ、吉良上野介の墓石など、鉱物の深遠にして、不思議な真実が次々と披瀝される。石に対する深い愛と学識に裏打ちされ、優しい語り口で紹介される「砂漠のバラ」、「火星の石」、「黄鉄鉱」、「ラピスラズリ」は、愛好家ならずとも思わず魅了される。鉱物研究歴70年を超える著者の「珠玉」のエッセイ。図版多数収録。文庫 ・ 2017/12/7
本の目次
- 石と芸術家の物語(宮沢賢治はなぜ石が好きになったのか;この砂は、みんな水晶 ほか)
- 石と歴史の物語(吉良上野介の墓石;石と雲 ほか)
- 石をめぐる人々の物語(ジェム・アンド・ミネラルショー;コレクション ほか)
- 誕生石の謎(ざくろ石;紫水晶 ほか)
- 不思議な石の物語(砂漠のバラ;黄鉄鉱 ほか)
著者紹介
堀秀道[ホリヒデミチ]
1934年東京都生まれ。中学校時代より鉱物を愛好し、都立上野高校卒業後、北里大学化学科助手、モスクワ大学地質学部留学をへて、鉱物科学研究所を設立する。東北大学理学博士。新鉱物の欽一石、アンモニオ白榴石、ストロナ長石を発見、その功績に対して日本鉱物科学会より櫻井賞を受ける。その後も岩代石、田野畑石を発見する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
レビュー
パワーストーンの勉強しようとして、鉱物が生活にどう浸透していたのかの歴史を知りたくて読んでみました。
独断と偏見でパワーストーン目線で印象に残った3つのことです。
- 宮沢賢治やゲーテ、ナポレオンなど偉人に鉱石が好きが多いという意外だった。
- ヨーロッパやアメリカでは多くの人が鉱物学を学ぶが、日本ではあまり学ぶ機会が少ないと思った。やはり日本は木の文化なのか。
- パワーストーンと称して販売している石から、著者自身はパワーを体験できずにいると。そういう意味でも、パワーストーンは古代の人と歴史文化のストーリー込みで購入していることになるのかと思った。
体系的な鉱物歴史という本ではなく、一口コラムや豆知識的な内容の集合体なので、気になるところをピンポイントで読むと、面白いと思います。
昔から、鉱物と人と文化がこんなにも密接な関係だったと改めて面白く、勉強になりました。
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この記事を書いた人
星カフェいんよう堂・魔法図書館編集長 カトケイ
星カフェいんよう堂編集長。年間150冊以上の本を読む本好き。西洋東洋問わず大の歴史文化好きで、特に生活に根差した風俗文化・オカルトに興味があり、歴史文化として占いに興味を持つようになる。最近は、歴史の側面から占いを語る鏡リュウジ氏がお気に入り。公式HP